忙しい人のための要約!
- 四十肩・五十肩は「肩関節周囲炎」と呼ばれ、多くの原因や症状が混在している!
- 半年~数年にかけて自然治癒するものだが、セルフケアを行うことで症状を緩和させたり、回復の時期を早めることができる!
- 四十肩・五十肩は、「急性期」「慢性期」「回復期」といった経過を辿り、それぞれの時期に応じたセルフケアが必要!
理学療法士どらです!
四十肩・五十肩は、「40代から50代にかけて起こりやすい肩関節周りに起きる炎症」のことをいいます。
腕を動かしたときに肩に激痛が走る、腕が動かしにくくなるといった症状が特徴的です。
日常生活では、衣服の着脱や車の運転、腕を後ろに回す、就寝時など多くの場面で痛みが出現します。
しかし、この肩の痛みは発症して半年~数年で自然治癒することが多いんです!
「ほっといても治るの??なら病院に行かなくてもいいの?」
そう思う方も多くいるのではないかと思います。
たしかに、私の経験上、「昔、四十肩になって痛くてたまらなかったけど、気づいてたら治ってた」とおっしゃっていた患者さんも多くいます。
多くいるんですが、「腕を動かせないほどの激痛なのに、日常生活や仕事では腕を使わなきゃいけないし、治るのに半年~数年もかかる...」
なんてことを考えただけで気が滅入ってしまいますよね^^;
でも安心してください!
四十肩・五十肩は、適切な運動や日常生活上での工夫を行えば、症状を和らげたり、回復を早めたりすることができます!
そのために、四十肩・五十肩に関する正しい知識を身につけていきましょう。
四十肩・五十肩の原因は?
四十肩・五十肩は、身近な病気ではあるものの、実は明らかな原因は不明といわれているんです。
原因不明といわれていますが、↑の説明にもあったように「肩関節やその周りに炎症が起きてしまっていること」が原因ではないかと考えられています。
四十肩・五十肩では、同じ肩の疾患でも前が痛かったり後ろが痛かったり、肩だけでなくその周りも痛いなど、人によって痛む場所は様々...
そのため、まずは「肩関節のどこに炎症(痛み)がおきているのか?」を知るために、「肩関節の構造」と「肩関節はどこなのか?」という2点について学んでいきましょう。
肩関節ってどこ?どんな構造?
一般的に言われている肩関節とは、①の肩甲上腕関節(第1肩関節)のことを指します。
しかし、厳密には他の〇で囲まれている4つの箇所も「肩関節」と呼ぶことができるんです!! (②~⑤のように、それぞれの関節に正式な名前があります)
うーーーーん。非常にややこしいですね^^;
しかし、「肩関節と呼べる場所は5つある」ということを知ることで、「どこの関節が問題で四十肩・五十肩の痛みが起きているのか?」ということを理解しやすくなります!
そして、痛みを起こしている場所がわかれば、なぜ痛みが起きているのか原因を把握しやすくなります!
今は、「ふーん。肩関節って細かく見ると5つの関節に分けることができるんだー(゜ロ゜)」くらいで思って頂ければ大丈夫です^^;
では、この5つの関節のうち、どこの関節に問題が起こると四十肩・五十肩になりやすいのか...
それは、一般的に言われている「肩甲上腕関節」が原因......
ではなく、第2肩関節が原因で痛みが起きていることが非常に多いんです!!(↑の画像の青○のところです)
もちろん、残りの4つの関節が原因で痛みが起きることもありますが、そこまで説明するとややこしくなってしまうのでそれはまた後日説明します・・・^^;
今回は、「なぜ第2肩関節の問題が四十肩・五十肩を引き起こすのか?」という点に着目していこうと思います。
第2肩関節が四十肩・五十肩を引き起こす原因は?
まず最初に、第2肩関節の場所をもう一度おさらいしてみましょう。
↓の図は第2肩関節を横から見たものです。正面から見た図は先ほど↑に載せているため、分からなかったらもう一度見直してみましょう^^
この第2肩関節の隙間には、主に以下の組織が重なって存在しており、それぞれの役割があります。
・棘上筋、棘下筋
➡ 肩関節を動かしたり、動かす時に肩関節を安定させる役割
・肩峰下滑液包
➡ クッションの様な形状で、筋肉や腱、靭帯などが骨とこすれる時に摩擦を減らす役割
この第2肩関節の隙間に存在する組織が、何らかの原因によって炎症が起きることにより、
組織内に痛みの原因となる疼痛誘発物質が発生して強い痛みが起こります。
また炎症により、第2肩関節内で重なっている組織と組織が癒着(くっついてしまうこと)してしまうため、腕を挙げることが難しくなったり、腕を動かす時に痛みを伴う「運動時痛」が引き起こされます。
普通の肩こりとはどう違うの?
「四十肩・五十肩」と「肩こり」の違いは以下の通りです。
① 四十肩・五十肩:関節の炎症が原因
② 肩こり:筋肉の疲労が原因
肩こりの場合、猫背などの悪い姿勢を長時間続けていることで、首や肩回りの筋肉が疲労し、血液の循環が悪くなることが原因となり痛みが出現してしまいます。
肩こりの原因と対処法については、↓の記事で詳しくご紹介していますので、是非一緒に見てくださいね^^
【肩こり解消!】 寝ながら出来る効果的なストレッチ3選!注目の「肩甲骨はがし」もご紹介!
四十肩・五十肩の主な症状は?
四十肩・五十肩の主な症状は、肩の痛みと動かしにくさです!
以下の症状が当てはまる場合、四十肩・五十肩が疑われます。
✅ 上着を着たり脱いだりする時に痛い..
✅ 髪の毛を結んだり、洗う時に痛い..
✅ 夜、仰向けで寝ている時に痛くて起きてしまう..
四十肩・五十肩になりやすい人は?
四十肩・五十肩は、40代や50代の方がなりやすい傾向にありますが、男女差は特にありません。
しかし、周りから「猫背だね」と言われたことがある方や座って作業をすることが多い方は、四十肩・五十肩に注意する必要があります。
つまり、四十肩・五十肩は悪い姿勢(猫背)によって起きる場合があります!
四十肩・五十肩は3つの期間が存在
四十肩・五十肩は「急性期・慢性期・回復期」と3つの時期が存在します。
それぞれの時期は約4か月程度続き、合わせて1年くらいの経過を辿ります。
時期に応じた症状や対処法を理解することで、四十肩・五十肩の症状を緩和させたり、回復の時期を早めることが出来ます!
ぜひ、参考にしてみてくださいね^^
急性期の主な症状
急性期は、炎症による痛みが最も強い時期となります。
そのため、「安静時痛(動かしてないときの痛み)」や「夜間時痛(寝ている時の痛み)」の症状が出現しやすいです。
急性期では、どのような日常生活でのケア方法や治療法があるのか?確認していきましょう^^
急性期に行うセルフケア方法
① 患部を安静にする
急性期では、関節の炎症が強いことによって痛みが強い時期です。
よく患者さんから「痛いけど無理にでも動かした方がいいと聞いたから動かしてる」と聞かれますが、それは大きな間違いです!
急性期は安静が第一であるため、重い物を持ったり、なるべく痛い方の肩を使わないようにすることを心がけましょう。
日常生活で支障がでない範囲であれば、三角巾の使用をオススメします。
② 夜間痛を防ぐため、寝るときの姿勢を工夫する
就寝時に、↓の図のような姿勢で寝ていることはありませんか?
図のような寝方では、夜間痛が強く出現してしまうことが多いです。
そのため、枕やタオルを使用して下の図のように寝ると痛みが軽減しますので実践してみて下さい!
薬物療法
① 内服薬による疼痛緩和
炎症を抑えるための飲み薬を内服することで、痛みの軽減を図ります。
病院を受診すると、ロキソニン等の抗炎症作用と沈痛効果が得られる薬を処方されます。
病院に行くことが難しい方は、医療用のロキソニンと同成分の「ロキソニンSプラス」という市販薬を服薬してみるといいと思います。
(※ 用法・容量には十分に注意してください!)
② 外用剤(湿布など)による疼痛緩和
内服薬が苦手という方には、湿布による疼痛緩和も効果的です。
市販の湿布では、抗炎症作用や鎮痛効果が高い「ボルタレンEXテープ」や「フェイタスZαジクサス」をおすすめします。
しかし、長期間使用する場合、肌の弱い方だと荒れてしまう恐れがあります。
その場合は、無理に使用せず、病院へ受診して適切な湿布を処方してもらいましょう。
③ 注射療法による疼痛緩和
注射療法では、肩関節に抗炎症作用のあるステロイドなどを注入する方法です。
炎症が起きている肩関節の部分に直接的に治療が行えるため、沈痛効果が高いです。
「上記のケア方法や薬などを使用してもなかなか痛みが減らない....」
そんな方は注射を行うと痛みの改善が見込めるかもしれません!
慢性期(凍結期)の主な症状
慢性期(凍結期)になると、炎症症状が落ち着くため痛みが楽になってきます。
しかし、慢性期になるまでは強い痛みで肩関節を動かせなかったことにより、肩関節周りの筋肉は硬くなってしまっています。
そのため、慢性期(凍結期)での主な症状は、肩の動かしにくさ(可動域制限)が中心となります。
まるで肩関節が凍ってしまったかのように動かしにくいことから、この時期は「凍結期」とも表現される場合があります。
慢性期(凍結期)のセルフケア方法
慢性期(凍結期)になったら、硬くなった筋肉を柔らかくするために痛みの出ない範囲でストレッチを行っていきます。
とは言っても、無理に痛みを出してまでストレッチを行ってしまうと、再び炎症を引き起こす可能性があるため、決して無理をしないでくださいね!
この時期に行う肩関節の運動としては、「コッドマン体操」がおすすめです!
とても簡単で効果があるため、↓の動画を参考にぜひ実践してみてくださいね^^
↑の動画では、反対側の手をベッドに置いていますが、テーブルや椅子、壁を使って行っても大丈夫です!
回復期(寛解期)の主な症状・セルフケア方法
回復期(寛解期)になると、炎症由来の疼痛はほとんど消失し、肩関節もだいぶ動かしやすくなります。
あの痛くて辛かった時期をようやく乗り越えたため、「あれ?いつの間にか痛みがない!」と喜ぶ方も多いと思います。
そうですよね...ずっと痛みに耐え続けて、動かしたくなくても日常生活や仕事で動かさなければいけない日々...本当に辛かったことだと思います。
しかし!ここで「痛みがなくなった=もう何もしなくてもいい」という訳ではありません!
この時期になるまでに、肩関節周りの筋力が落ちていることが非常に多いです。
特に洗髪動作や結滞動作、更衣動作などの肩を回旋(ねじる)させるための筋肉が落ちやすいと言われています。
そのため、「肩関節のストレッチ+筋力トレーニング」を行い、痛みの完治や再発予防を目指しましょう!
ここまでくれば、もうひと踏ん張りです!!
↓の動画で肩関節のエクササイズを分かりやすく紹介しています^^
無理のない範囲で、実践してみて下さいね!
まとめ
いかがだったでしょうか?
何度も言いますが、四十肩・五十肩は自然治癒するものです!
しかし、肩のどこが痛いのか?なんで痛いのか?自分はいまどの時期でどんなケアをするべきなのか?
ということを理解することで、さらに自然治癒の速度を速めることが出来ます!
今回の記事を読んで頂いたことで、「肩の痛み=安静」ではなく、「肩の痛み=3つの時期に合わせた適切なケア」という考えになって頂けたらOKです!
難しい話もあったと思うので、何度も見返して頂き、少しでも早く四十肩・五十肩とおさらば出来るように頑張って下さいね^^